脳腸相関

普段は鍼灸学校の教員をやっているのですが、約2ヶ月後に国家試験が控えています。このような国家試験本番や、卒業試験など大きな節目の試験の前になると、トイレがやたらと近くなる学生がいます。

皆さんも何か緊張する場面の前にお腹が痛くなったことはありませんか?

これが「脳腸相関」です。

この「脳腸相関」を辞書で引くと・・・ 脳と腸の間の機能的な関連性。種々のホルモンやサイトカインなどを介し、双方向的に情動や生理機能に影響を及ぼし合うこと。(デジタル大辞泉より)

辞書で見るとなんだかややこしいですが、簡単に言うと、脳と第二の脳と言われる腸が相互に影響しあうということです。

何らかのストレスを感じる→腸に影響し腹痛→その腹痛がさらにストレスに→脳に影響・・・という悪循環が生じるわけです。

では、ストレスが消化器の症状にどのように影響するのか、東洋医学的に考えてみましょう。

ストレスが「肝」に影響を及ぼして「肝」の機能を狂わせるまでは以前のブログにも書きました。

ここで登場するのが以前も掲載した下の図です。

「肝」は木のグループに属しています。そして消化器である「脾(脾臓ではありません)」と「胃」は土のグループに属しています。

「肝」の機能がストレスによって狂わされると、赤い→の方向へ影響が及びます。つまり、土のグループに影響が及び、その機能を狂わせてしまいます。この仕組みによって、過度のストレスがかかるとお腹が痛くなったり、下痢や便秘を繰り返す症状が起きると考えます。

これを専門用語(弁証と言います)で言うと「肝脾不和」や「肝胃不和」と言います。

最近思うのが、結構この状態の方が増えた気がするのです。

理由を考えたところ、リモートワークが増えたことにより運動不足の方が増えました。家でずっとパソコンの前で作業をしていると、気の巡りが悪くなります。いわゆる気の滞り「気滞」です。これが過剰になると、上記の図のように消化器に影響が及び、便秘や下痢の症状に悩んでいる方が増えているのではないでしょうか。

もし、リモートワークを続けていて、消化器症状に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、まずは適度な運動を心がけてください。そして・・・鍼、受けてみてください!

このように、東洋医学では、理由はまったく違えど同じ弁証になれば、治療法も同じになることがあるわけです。

逆に、症状が同じでもまったく違う弁証になり、治療法が変わることも多々あります。