盤龍刺

「盤龍刺」という刺し方があります。下の写真をご覧ください。

胸と腰の背骨の骨(胸椎と腰椎)が17個あり、その棘突起(背中の真ん中の出っ張った部分)の間の両側に鍼をしていく「華佗夾脊」というツボがあります。その華佗夾脊を写真のように交互に1本ずつ省いた刺し方を「盤龍刺」と言います。よく学生に「スキーのスラロームみたい」などと言われたりします。(笑)

この盤龍刺、私はほぼすべての方に行うくらい、いつの頃からか多用するようになりました。

「盤龍刺と言えばひりゅうでしょ!」「ちょっと今日盤龍行っとく?」

なんて流行語大賞に「盤龍刺」がいつの日かノミネートされることを狙っているくらい盤龍刺、打ってます(笑)

ではどのような効果があるのか?まずは東洋医学的な効果から。

体には14本の経絡という線路が走っているのですが(目には見えません)、その中に「督脈」という、背中の真ん中を走る線路があります。背中の真ん中にあるのは?そう、背骨です。「盤龍刺」はその背骨の両側に刺していくので、この「督脈」の流れを良くするという効果があります。

では「督脈」の流れを良くすると体にどのような効果があるのでしょう?

背中の真ん中の経絡の流れがよくなれば、背中の張りや腰痛、頸痛などが解消されます。また、「督脈」は背骨から頭の真ん中を通って上唇まで続いています。ですので、頭がスッキリしたり、頭痛が取れたりします。

上記以外にもまだまだ効果はいろいろ考えられると思いますが、万人に同じような効果が出るとは限りません。ダイエットサプリメントの広告などでよく見る「効能には個人差があります」ってやつです。

次に西洋医学的な効果です。

背骨の際に刺していくこの「盤龍刺」。背骨の付近には「脊柱起立筋」という体を支える筋肉がたくさんあります。中でも体の深く、マッサージなどではなかなか届かない位置に細かい筋肉(下記イラスト内の棘筋や多裂筋など)がたくさんあるのですが、それらが凝ることによって腰痛や背中の痛み、呼吸がしづらいなど様々な不調が現れます。これらの細かい筋肉に鍼を刺して緩めることができるのが「盤龍刺」です。

ですので患者さんからよく「呼吸がしやすくなった」「身長が伸びた気がする」などの感想をいただきます。

また、自律神経である「交感神経」も、胸と腰の背骨の近くに大元の幹が存在しているため、この付近に鍼を届かせれば自律神経にも働きかけることができると考えられます。

このように筋肉や神経、また経絡に対して効果がある盤龍刺、背中の張りや腰の痛み、頸の痛みから寝つきが悪いなどなど、様々な症状に対して効果があると考えられるので、すべての人類の方々に一度体験していただきたいと思っております!