血の滞りそれすなわち瘀血

タイトルの通り、「瘀血」とは血の滞りのことです。

ちなみに、「血瘀」という言葉もありますが、瘀血は各所の血の滞りのことで、血瘀は全身を見たときに、どこかに血の滞りがある状態を指します。少しややこしいのでここでは「瘀血」で進めていきます。

この「瘀血」が起きる中医学的な原因にはいくつかあります。

①気虚→血を流す気(エネルギー)が虚(足りない)
②気滞→血を流す気(エネルギー)が滞(滞っている)
③血虚→血自体が足りないため、流れる勢いが弱い
④寒→冷えで血が固まり、流れが悪くなる
⑤熱→熱で血がドロドロになり、流れが悪くなる

まずは、①気虚→血を流す気(エネルギー)が虚(足りない)についてです。

血は「気(エネルギー)」と共に体を流れています。気(エネルギー)が虚(足りない)と、血の流れる勢いが弱まります。

流れる勢いが弱まると、血が滞り、「瘀血」の状態になります。

この「気虚」 になる原因として・・・

①普段からあまり食事を摂らない(食べ物から気をつくります)
②長引く病で寝たきりになってしまう(寝すぎると気を損傷します)
③大量の汗をかいてしまった(汗と共に気が漏れます)
④働きすぎ、動きすぎ(気を消耗しすぎた)

などがあります(↑なんとなく気虚っぽいイラスト。いくらステイホームだからといってこんな状態になるまで運動するのはおススメできません)

次に、②気滞→血を流す気(エネルギー)が滞(滞っている)についてです。

①にも書きましたが、血は「気(エネルギー)」と共に体を流れています。気(エネルギー)の流れが滞れば、共に流れる血も滞ることになります。これが「気滞」です。

この「気滞」になる原因として、

①ストレス→気(エネルギー)をスムーズに流す作用を持つ「肝」に影響します
②同じ姿勢を長時間続ける仕事(デスクワーク)など→同じ姿勢続けることで、気(エネルギー)の流れが悪くなります

現在のコロナワールドでどちらも増えている気がします・・・

などがあります(↑こんな感じでストレスかかってませんか?)

と、いうことで、次回は③血虚→血自体が足りないため、流れる勢いが弱いについて書いていきます。

ザ!鉄腕!DASH!! 番組制作に協力しました!

本日1/17(日)19:00~放送のザ!鉄腕!DASH‼をご覧になりましたか??

TOKIO城嶋リーダーの腰痛を治すべく、昔ながらのお灸治療が紹介されました。

以前ご紹介したみそ灸(http://hiryuharikyu.com/blog/?p=214)を城嶋リーダーの腰に据えたいのですが、国家資格である灸師資格を持たないと他者にお灸を据えることができないので番組内ではリーダー自身が灸を据え、点火をするというセルフ灸に挑戦するのですが…

プルプル…プルプル‥

腰痛患者にこの体勢は…キツイ!!(笑)

だいじょうぶ、当院にお越しいただければ痛む腰にももちろん私たちがやさしくお灸を据えます!(笑)城嶋リーダーも、お待ちしております。

見逃した方、無料配信サービスアプリ「Tver」で1/24日18:59まで観られるようです。ぜひご覧ください。

盤龍刺

「盤龍刺」という刺し方があります。下の写真をご覧ください。

胸と腰の背骨の骨(胸椎と腰椎)が17個あり、その棘突起(背中の真ん中の出っ張った部分)の間の両側に鍼をしていく「華佗夾脊」というツボがあります。その華佗夾脊を写真のように交互に1本ずつ省いた刺し方を「盤龍刺」と言います。よく学生に「スキーのスラロームみたい」などと言われたりします。(笑)

この盤龍刺、私はほぼすべての方に行うくらい、いつの頃からか多用するようになりました。

「盤龍刺と言えばひりゅうでしょ!」「ちょっと今日盤龍行っとく?」

なんて流行語大賞に「盤龍刺」がいつの日かノミネートされることを狙っているくらい盤龍刺、打ってます(笑)

ではどのような効果があるのか?まずは東洋医学的な効果から。

体には14本の経絡という線路が走っているのですが(目には見えません)、その中に「督脈」という、背中の真ん中を走る線路があります。背中の真ん中にあるのは?そう、背骨です。「盤龍刺」はその背骨の両側に刺していくので、この「督脈」の流れを良くするという効果があります。

では「督脈」の流れを良くすると体にどのような効果があるのでしょう?

背中の真ん中の経絡の流れがよくなれば、背中の張りや腰痛、頸痛などが解消されます。また、「督脈」は背骨から頭の真ん中を通って上唇まで続いています。ですので、頭がスッキリしたり、頭痛が取れたりします。

上記以外にもまだまだ効果はいろいろ考えられると思いますが、万人に同じような効果が出るとは限りません。ダイエットサプリメントの広告などでよく見る「効能には個人差があります」ってやつです。

次に西洋医学的な効果です。

背骨の際に刺していくこの「盤龍刺」。背骨の付近には「脊柱起立筋」という体を支える筋肉がたくさんあります。中でも体の深く、マッサージなどではなかなか届かない位置に細かい筋肉(下記イラスト内の棘筋や多裂筋など)がたくさんあるのですが、それらが凝ることによって腰痛や背中の痛み、呼吸がしづらいなど様々な不調が現れます。これらの細かい筋肉に鍼を刺して緩めることができるのが「盤龍刺」です。

ですので患者さんからよく「呼吸がしやすくなった」「身長が伸びた気がする」などの感想をいただきます。

また、自律神経である「交感神経」も、胸と腰の背骨の近くに大元の幹が存在しているため、この付近に鍼を届かせれば自律神経にも働きかけることができると考えられます。

このように筋肉や神経、また経絡に対して効果がある盤龍刺、背中の張りや腰の痛み、頸の痛みから寝つきが悪いなどなど、様々な症状に対して効果があると考えられるので、すべての人類の方々に一度体験していただきたいと思っております!

脳腸相関

普段は鍼灸学校の教員をやっているのですが、約2ヶ月後に国家試験が控えています。このような国家試験本番や、卒業試験など大きな節目の試験の前になると、トイレがやたらと近くなる学生がいます。

皆さんも何か緊張する場面の前にお腹が痛くなったことはありませんか?

これが「脳腸相関」です。

この「脳腸相関」を辞書で引くと・・・ 脳と腸の間の機能的な関連性。種々のホルモンやサイトカインなどを介し、双方向的に情動や生理機能に影響を及ぼし合うこと。(デジタル大辞泉より)

辞書で見るとなんだかややこしいですが、簡単に言うと、脳と第二の脳と言われる腸が相互に影響しあうということです。

何らかのストレスを感じる→腸に影響し腹痛→その腹痛がさらにストレスに→脳に影響・・・という悪循環が生じるわけです。

では、ストレスが消化器の症状にどのように影響するのか、東洋医学的に考えてみましょう。

ストレスが「肝」に影響を及ぼして「肝」の機能を狂わせるまでは以前のブログにも書きました。

ここで登場するのが以前も掲載した下の図です。

「肝」は木のグループに属しています。そして消化器である「脾(脾臓ではありません)」と「胃」は土のグループに属しています。

「肝」の機能がストレスによって狂わされると、赤い→の方向へ影響が及びます。つまり、土のグループに影響が及び、その機能を狂わせてしまいます。この仕組みによって、過度のストレスがかかるとお腹が痛くなったり、下痢や便秘を繰り返す症状が起きると考えます。

これを専門用語(弁証と言います)で言うと「肝脾不和」や「肝胃不和」と言います。

最近思うのが、結構この状態の方が増えた気がするのです。

理由を考えたところ、リモートワークが増えたことにより運動不足の方が増えました。家でずっとパソコンの前で作業をしていると、気の巡りが悪くなります。いわゆる気の滞り「気滞」です。これが過剰になると、上記の図のように消化器に影響が及び、便秘や下痢の症状に悩んでいる方が増えているのではないでしょうか。

もし、リモートワークを続けていて、消化器症状に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、まずは適度な運動を心がけてください。そして・・・鍼、受けてみてください!

このように、東洋医学では、理由はまったく違えど同じ弁証になれば、治療法も同じになることがあるわけです。

逆に、症状が同じでもまったく違う弁証になり、治療法が変わることも多々あります。

かんじん要

「かんじん要」という言葉はご存知ですよね?

一応意味はこちらになります

「特に大切であること・さま」

デジタル大辞泉より

そして「かんじん」の漢字ですが、「肝心」と「肝腎」があります。どちらも使われているようですが、西洋医学でも東洋医学でも肝、心、腎はどれも非常に大切な臓器です。

しかし!「肝心」・「肝腎」どちらにせよ「肝」が入っているということは、昔から「肝」はとても重要視されていたと考えられますね。

ですので皆さんも薬の過剰摂取やお酒の飲み過ぎ、そして何より「ストレス」を溜め込まないように「肝」を大切にしてくださいね!

肝臓の数値とストレス

皆さん、一度は血液検査を受けたことがあると思います。 その中の「AST」と「ALT」という項目を見たことがありませんか?

お酒好きな方は健康診断の時に、この項目を示されながら、
「ちょっと肝臓の数値が悪いので、お酒は少し控えましょうね」
なんて言われたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この「AST」と「ALT」は肝臓の細胞に含まれている酵素(生きる上で大切な体内の化学反応を起こすために必要な火付け役みたいなもの)です。 

肝臓に何らかの問題が生じると肝臓の細胞が壊れ、この酵素が血液中に漏れだしてしまいます。 ですので、「AST」と「ALT」の数値が正常範囲を越えて検出されると、肝臓に問題があることがわかるわけです。

3年ほど前の経験談になるのですが、こじらせた風邪がとにかく治らない!

普段は2、3日しっかり食べて寝れば治るのですが、1週間経っても治る気配がなく、緑の痰が出始め、しかも食べ物の味がほとんどしなくなった(今だったら隔離ですね・・・)ところでかかりつけの病院へ。

この病院が鍼灸院のすぐ近くにある病院で、鍼灸にとても理解のある先生がいらっしゃるのです。

診察の結果、感染症の疑いが強かったため血液検査をしてもらいました。

異常な数値を示したのが「ALT」と「AST」で、通常範囲を超えていました。

真っ先に疑われたのはウィルス性の肝炎です。
A~E型と種類がありますが、怪しかったのが食べ物から感染するA型もしくはE型です。
A型なら生ガキ、E型なら獣肉(イノシシなど)から感染しますが、そもそも生ガキが苦手ですし、狩りには出ていないのでこれはありえません。

結局肝炎の可能性も消え、最終的に先生から言われたのが・・・

「ストレスだね」

えええ!?ストレスで血液の数値に異常として出るんですか?

はい、出るそうです。

「ストレス」と「肝」を結びつけて考えるのは東洋医学だけだと思っていたのですが・・・

まさか目で見て肝機能の数値が異常として見れるとは!
もちろん、すべてのお医者さんが数値の異常を見てストレスと言うとは限らないと思います。
でもこのようなお医者さんがいて、しかも自分の鍼灸院のすぐ近くにいらっしゃるのがなんだかとても心強くて嬉しかったです。

さて、ここで中医学的にこの時の自分の症状について検証してみましょう。

主な症状として、ひどい時は緑色でだんだん黄色くなってきた痰と止まらない咳でした。(食べ物の味が分からなかったのは一度だけだったのでスルーします)

ストレスによって「肝(東洋医学では肝臓とは言わないのです)」の仕事が狂わされ、今回は特に「気」と「水」の流れが滞り、不要な水が肺に溜まります。肝はなんとかその滞りを解消しようと頑張った結果、空回りし、オーバーヒート状態となり熱を帯びた状態となります。熱は上に昇りますので、肝の上に位置する肺が蒸し焼き状態となり、肺の機能が熱によって狂わされ、呼吸に問題=咳がひどくなります。また、熱によって肺に溜まった痰が色味を帯び、咳によって色のついた痰が排出された・・・と考えられます。

いかがでしょうか?西洋医学的には感染症による症状が長引いてしまっただけですが、中医学的に考えると、なぜ色味のついた痰が出たり咳が止まらなくなったのか、そして肝機能の異常として現れたのか?がなんとなく説明できてしまいました。これが中医学の面白いところかなと思っております。

と、ここまで説明しておいて、いまだに自分ではストレスを感じていないと思っているんですけどね・・・

疲労回復に、吸い玉(カッピング)療法!

東洋医学の治療法の1つに吸い玉(カッピング)療法というのがあります。

エステでやっているところも多いので、ご存知のかたも多いかもしれません。

吸い玉(カッピング)療法は、身体にガラスやプラスチック製のカップをつけて中の空気を抜き、真空状態にすることで身体の中の老廃物を引き出して流す治療法です。身体の内部にアプローチするので自律神経や内臓にも効果的です。また、東洋医学的で瘀血と言われる血流が悪くなっているところを改善するので、術後は身体が軽くなりますよ♪

吸い玉(カッピング)療法の効果は、頑固なコリ 冷え症 血流改善 自律神経の調節 むくみ改善 痩身効果 美肌効果 などなど 特に女性には嬉しい効果がたくさんですね(o^^o)

患者様の症状によって 吸い玉(カッピング)療法ができない場合もございます。ご予約の際にご相談下さい。

当治療院は、患者様一人ひとりに合わせたオーダメイドな治療を行います。お身体でお悩みのことがありましたら 是非ご相談下さい。

ストレスと腰痛の関係 その4

今回はストレスと腰痛の関係のお話のまとめです。

腰痛を東洋医学的視点から考えたとき、ストレスが原因となる腰痛があり、特に「怒り」の感情が「肝」の仕事を狂わせ、体を流れる3つの物質「気」、「血」、「水」が滞り、それぞれ特徴のあるタイプに分けられるのでした。

前回のブログでご自分のタイプは確認していただけましたか?

せっかくですので簡単な解消法をご紹介します。

まずは運動。体を動かすのは大切です。激しい運動ではなく、ウォーキングやストレッチなど簡単にできる運動を日課にしてみてはいかがでしょう?

体を動かすと、「気」が巡りだし、「気」が動けばそれにより「血」や「水」も動くので様々な滞りが解消します。

あとはストレスを溜め込まないこと。溜め込むならお金にしましょう(笑)。

ご自分でストレス発散法がある方は問題ないですが、特に思い当たる発散法がない方は、滞っているものを吐き出すという意味で、一人カラオケ(感染防止の意味も込めて)や、お風呂で大きな声を出すことにより「気」が巡り、滞りが少しは解消すると思います。

いかがでしたか?ちなみにストレスは腰痛だけでなく、その他の部位の痛みにもこのメカニズムで説明できることが結構あります。

原因がわからない体の痛みのある方は一度東洋医学的な見方で見てみてはいかがでしょうか?

ストレスと腰痛の関係 その3

前回は「肝」の仕事がストレス(特に怒りの感情)によって狂わされ、気(エネルギー)、血(血液)、水の流れが悪くなってしまうのが原因というお話でした。

今回はこれら3つが滞った場合の特徴をお話します。

1、「気(エネルギー)」が滞る→張ったような痛み、動かした方が楽
2、「血(血液)」が滞る→刺すような(チクチクした)痛み、夜痛い
3、「水」が滞る→重だるい痛み、雨の日に悪化する

いかがですか?自分の腰痛のタイプに当てはまるものはありましたか?

1はあてはまるし3もあるなあ・・・というそこのあなた!

その場合は「気」だけではなく「水」も滞っていると考えられます。

このように、滞るのは1つだけでなく、2つも3つも滞ることもあります。

次回は完結編です。

ストレスと腰痛の関係 その2

前回、腰痛は原因がわからないことが多いけれど、東洋医学的に考えるといくつかの種類に分けられますよ!というお話しでした。

今回は東洋医学的メカニズムについて簡単にお話しします。

ストレスが影響しやすいのは「肝」という臓腑(西洋医学の内臓)です。
(ですので西洋医学の肝臓とは違います!)

この「肝」は、体の気(エネルギー)や血(血液)、水を体の隅々まで行きわたるように調節する仕事をしています。

ところがストレス、特に「怒り」の感情が芽生えると、「肝」が仕事を満足にできなくなってしまいます。

結果、気(エネルギー)や血(血液)、水という体の隅々まで行きわたらなければならないものの流れが「滞る」ことになります。

この「滞る」ことこそが体の様々な症状の原因なのですが・・・

引っ張りますが今回はここまで!